前回は、筆者のつたない臨時講師の体験談をお話いたしました。 今回も、体験を通じて感じたことを補足的にコメントいたします。 まずは、第一印象が大切だということ。これは講義に限らず、営業現場でも同じで、 最初の印象が後々の説得力に大きく影響すると考えています。 講義を例にとると、受講生と初対面の講義の時は、教室に入った時から突き刺す ような視線を感じ、自己紹介をする最初の5分間ぐらいまでは、一挙手一投足を 観察されている感じがします。聞く側は、何を話すかの期待と共に、視覚や聴覚を フルに使って話す側を分析しているのだと思います。 以前、お伝えした「人が情報を収集しようとする時に、視覚的情報 を相当な割合で優先する」という心理学者のアルバート・メラビアンの学説と合致し ます。先輩講師からは、最初の5分が勝負と教えられたことも思い出します。 料金を払って、講義を聴きにこられているので当然のことですが、営業の現場では、 聞く側に話を聞こうという強い意思が無いことも少なくありません。その場合に、 最初の印象が悪ければ、後の説明が聞く側に届かなくなることは自明の理です。 だからと言って印象を良くするために、何か特別なことをする必要は無く (1)清潔感のする身だしなみとマナー (2)簡潔な自己紹介 (3)聞く側の状況に応じた話し始め などの基本に忠実で、失敗を防ぐ心がけで充分だと思います。 時々見受けられる、聞く側の状況を確認せず、売りたい一心でセールスポイントを まくしたてる営業シーンは、最初に損をしているパターンだと思います。押し売りの 場合は、それでよいこともありますが、客を説得し、納得させるためには、 相手が聞く状況になってから、話を始めることが最も効果的な方法です。 このことは、営業現場のプレゼンテーションの3要素の「内容」と「ツール」を終え、 最終目的の「相手との『信頼関係』」を築く導入部分になります。 決して消極的に遠慮する必要は無いのですが、まず、相手の状況を聞くなど確認し、 それに応じた営業をすることが、大切だと考えています。 話し上手は、聞き上手と言われます。次回は、この辺りについてコメントいたします。